安永達雄本人の状

                    2001、8 安永純也

☆身体機能は動作の遅さを除くと一応各機能とも果たせる

 

☆しかし、判断力、新規記憶には大きな障害があり問題行動、徘徊、

譫妄などあるため見守りが欠かせない

 

☆生活動作はこちらでやってやったほうが早いし確実だが、

身体機能低下(廃用症候群)にさせないため見守り、

指導、支援しながら、なるべく本人にやってもらっている

 

☆感情への配慮  判断力、行動に問題があっても感情は良く残っている・・ので

高圧的な指示や命令ではなく納得させるために言葉を選び根気強く

繰り返し話す様にしている(感情残像の法則・・)。

また、穏やかな生活、心地よい体験を重視し、極力親父の以前の趣味に合せた

会話、行動、外出を心がけている(回想法の応用・・)。

このことを知らなくて、又本人の望む通り日がな一日寝かせていたら,

とっくにもっと痴呆も進み、寝たきりになっていたことだろうと思う

 

☆着替  自分で着脱は可能、しかしTPOを考慮した衣服の選択は出来ないため

取り出して、揃え、見守りで着せる

下着など、ほおっておくと今脱いだ古いのを着たり、素肌に直接上着を着たり、

何枚も重ね着したり、夏なのに冬物を着たり…と目が離せない

 

☆品物の出し入れ   動作的にはできるが、何処にあるのか、

どれなのか良く判らないことが多い 

タンスや冷蔵庫には夫々に大きな文字で機能、収納物を書いているが

それを見ても判らずに冷蔵庫に靴下が入っていたり、

電子レンジを開けてビールを探したりする。

また、自分のものと他人のものの区別も良く出来ない。

 

☆動作の連続性  生活習慣動作は基本的にはできるが、

今何をやったから次に何をやるべきかは過去の習慣による

一連の動作としてならできるが、

途中で中断すると最初からやりなおそうとするため、アドバイスが必要

 

☆作業の確認  「顔を洗って」、「ひげをそって」、「歯を磨いて…」

と指示をしているとすぐに「済ませた」といって終わって帰ってくる

 聞くと全てやったというが、

顔を見るとひげはそのまま・・なんて何時ものこと…

指摘すると必ず「やった」と言いその後また生えたんだとか…

とにかく、言い訳だけは感心するくらい上手い。

必ず見守り、確認が必要 タンスの収納も後ろで見ていてやらせないと、

何処に何を 収納するか判らない

 

☆新規記憶の困難さ

他所の人と行う一般的な会話は、

その場だけ見るときわめてまともな内容であるが、ほとんどは事実に反している。

このため電話や玄関での対応など後でトラブルになることが良くある。 

また、今確認した(聞いた)話しも数分後には全く忘れており、

それを指摘すると「聞いていない」「言っていない」と言い張るのが常である。

 

☆徘徊  現在の精神時代は15,6歳の学生時代だったり、

25,6歳の海軍時代だったりするため、

明け方良く「新聞配達に行く!」(学生時代アルバイトをしていたため)

といって出て行こうとしたり、朝8時半ごろ「早く錬兵場(兵隊を訓練する

 部隊のあるところ)に行かないと間に合わない!」といって着替えようとしたり・・

 多いときは毎朝、少ない時は月に1度とその出現頻度の差は大きい

一度など真冬の早朝に階下で音がするので急いで下りて行って見るといない!

 急いで玄関を出てみると門を締めて歩き去ろうとしている…聞くと

 「新聞配りにいってくる!」と言う、とっさに「今日は新聞は休みよ!」と言うと

首をかしげながら帰ってきた・・!  

それ以来、玄関には内鍵をつけてそのキーは隠して、

私達が玄関そばの座敷に寝て、物音に気をつけている

よく夜中に良く起きて家中を徘徊し、何やかやと自分の部屋に持って行って

自分の名前を書いて仕舞ってしまう。 

一度など私の財布が無くなり、幾ら探しても

 見つからないので交番に届け、銀行やクレジット会社にカードストップをかけ

 いよいよ免許証の再交付に行こうとして、もう一度親父の部屋を探すとタンスの

 奥から出てきた。それ以来、夜中に親父が起きた気配がするとこちらも起きて、

 寝るまで付き合うことにしている。

デイサービスから帰ったとき私がいなかったり、夕方親父が目覚めた時、誰も

いないと探しに行こうとして(しているのだと思う・・)出て行こうとする

そのため夕方は、夏場より冬場の方が徘徊の危険性が多い。

 

☆譫妄  良く変な行動を問いただすと

「誰だったか忘れたが、そんな風に言われた」とか、

夜中に一人でぶつぶつつぶやいていたりと、「誰かと確認したから・・」など

不解な行動にが時々ある。

 

☆昼間の行動  夜中の徘徊を少なくするため、

ほっておくとすぐにベッドに横になる親父を出来るだけ動かせるため、

そして夜間徘徊させないためにデイサービス(週3日) 

以外はほとんど私と行動を共にさせている。

そのため、私は色んな会の会議など長時間の室内拘束は出来なく、

やっていた役職などのは全て止めてしまった。

室外のレクリエーションは、

見たり、参加したり出来るものに努めて連れて行っている。

デイサービスの日も送りだし後、

なるべく9時半から16時ぐらいまでで私は帰宅するようにしている

(そうしないと徘徊して行方不明になる危険性が大きい)。

このため、色んな会への参加、就職は不可能な状態でありあきらめている。

 

☆徘徊老人登録 区役所への登録を済ませているし、

今宿タイムズに介護記録を連載させてもらっており、

これにより地域社会に認識して頂いているので色んなところで見守りして頂いている

 

☆呆け老人を抱える家族の会にも良くコンタクトを取っており、

セミナー出席や各種情報を入手し活用している。

 

☆尋常性乾癬 昨年2月以来、全身にかゆみと赤い発疹あり、

皮膚科のステロイド剤では治らないので、

漢方を処方してもらい、少しづつ成分比を変えながら現在大幅に改善し、

治癒の見通しが持てる様になってきている。

これも毎日何度も自分の腕や顔を見ては驚き、

そのことで夜中に起き出して騒ぐこともある。

 

☆私は介護保険が始まる前、

前いた会社の健康保険で毎日デイサービスに頼んでも全て補助してくれていたので、

月〜金をお願いしてその間、

3ヶ月ハローワークの職業訓練でホームヘルパーの資格を取得した。

(原土井病院看護学校)    

現在はほとんど親父の専任看護人状態である。

 

 

 

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