高齢者介護のポイントー1
寝たきりとは


件名 : 高齢者介護のポイント-1(寝たきりとは))   2001/06/05 (火
先に、福岡市民福祉サービス公社の高齢者介護講座に
参加した事をお話ししてました

既にご承知の方も多いと思いますが、
その中での掲記の内容がお役に立ちそうでしたので
メモを見ながら数回に分けてまとめて見ます
(特に私の関心事であります痴呆について
うまく説明してもらいましたので・・・・・)
一部は昨年私が3ヶ月通った介護セミナの報告(SNF)と
重複しますが、違ったまとめ方になっていますので・・

1.寝たきりとは

 A.寝たきりのタイプ
  介護対象者が寝たきりのため、介護が大変になることが
  多いですが、これには次の三つのタイプがあります

 (1)起きられないタイプ
   これは、意識がない、病状が悪い、終末状態である・・・など

 (2)起さない、手を掛けないタイプ・・・・これが多い・・!!
   これは介護力が不足していて起されなくなった人達・・

 (3)起きようとしないタイプ
   本人の意欲、自発性が低下して居るため寝てばかりいる
    親父は私が退職した時はこのタイプでした・・・・!

 B.廃用症候群

   寝たきりの原因を見ると、幾つかの症状・現象が継続して
   発生しますが、その多くは体の使えない(使わない?)機能が
   関係しています

   例えば(前後関係は色々変化、循環しますが・・・・)

   風邪を引く→寝こむ→食欲がなくなる→便秘になる→
   筋力が低下する→関節の動きが悪くなる→意欲が低下する
   →骨がもろくなる→感覚が鈍くなる→失禁する→
   褥痩ができる→痴呆が進む・・・・・・

   などです。
   寝たきりを防ぐにはこれらの循環を絶ち切る意志と努力が
   本人と周りに求められると思います
  
 C.閉じこもり症候群
   色んな原因でおこる閉じこもりはやがて廃用症候群から
   寝たきり、痴呆へと発展して行きます

   親父もあと少しで「寝たきりの痴呆」になるところでした・・!

   閉じこもりには以下の三つの要因が絡まっています

 (1)身体的要因
   前記の色んな症状

 (2)心理的要因
   「地域力」という言葉で話されました
   家庭内、地域社会その他色んなストレスがありますが
   これら周りの関り方も心理的な圧力になるのか、
   力になるのかで大きく差が出るようです   
 
 (3)環境要因
   ・人的環境・・・介護力の差・・公的介護力、家庭の介護力
   ・物理的環境・・・住宅、福祉用具、建物、都市・・・

  これらが原因で閉じこもりになり、廃用症候群が進み
  やがて寝たきり、痴呆へと進んで行きます



 件名 : 高齢者介護のポイントー2                  2001/06/06 (水)


昨日の投稿に早速、車椅子のおっさんの
廃用症候群にならないように頑張っておられる報告や
SNKのPONさんの犬の散歩の話しなど、
関連した話題ありがとうございました
さて、今日は「痴呆」について少し書いて見ます
世界的な統計でも85歳以上の方の1人/3人にボケが出ている
といわれていて、老化のひとつとして避けて通れないものです

A.定義  痴呆とは
後天的な障害で、一旦獲得(発達)した知能が比較的短期間に
かつ持続的に低下し、日常生活に支障をきたした状態です
一旦獲得した知能の低下ですから、それらの方々の
「プライドが高い」事を十分理解・認識しておく事が重要です・・・!

B.症状
中核症状があって、これが様々な周辺症状を引き起こすのですが、
我々が目にしやすいのは、周辺症状ですからこれに反応し易い
事で混乱が生じます

(1)中核症状
  記憶・記銘障害・・・・よく覚えていない、思い出せない
  見当識障害・・・・・・時間、場所、人物などを正しく認識できない
  計算力・知識の低下、
  理解力・判断力の低下

(2)周辺症状
  日常生活能力の障害
  問題行動・・・これは周りから見た考え方です・・・!
  随伴精神症状・身体症状・・・・中核症状によって引き起こされます

人は知・情・意の世界に生きていますが(精神世界を支えていますが・・)
痴呆の方は情の世界だけが最後まで残っています

これを大事にしてあげることが重要です・・・・!



件名 : 高齢者介護のポイントー3            2001/06/06 (水)


一昨日だったかNHKで遠距離介護で頑張っている方の
レポートが放送されていましたね
住み慣れた土地で過ごしたいお年寄りの気持ちを
地域社会で支える必要性が痛感されました

痴呆症状の出方は時・場所によって様々ですが、
そこには幾つかの共通した特徴があります
これを理解するといたずらに反応しなくて済みます

「痴呆症状の特徴」(8大法則と1原則)
   (参考文献 杉山孝博「新訂ぼけなんか怖くない ぼけの法則」

第1法則:記憶障害に関する法則
       記憶力低下(ひどい物忘れ)

     近年、老人の記憶障害を逆手に取ったブラックシルバー産業が
     増えていますが、これらには地域後見人制度などが考えられて
     いるようです

       全体記憶の障害・・・これが大きな特徴です
        私達でも昨日の晩に食べたものを忘れることがありますが
        痴呆の方は食べた事そのものを忘れます

      記憶の逆行性喪失・・・さっきしたことや昨日の事はすぐ忘れますが
        古い記憶はしっかり残っています
        その人の一番輝いていた時期に記憶が戻ってしまいます

      その世界に今生きているつもりですから、
      それをよく知って対応することが
      一番の精神安定に繋がります

第2法則:症状出現に関する法則
       より身近な者に対して痴呆症状がより強くでる

     これは信頼している人に安心するからです・・・!
     対外的には立派に振舞うのもこのためです・・・!

     親父も全くその通りで、私の兄弟達が電話したり、
     訪問した時は、一見全く正常な言動をしますので、
     「親父、しっかりしてるじゃない!・・・」とよく言われます

     でも、いってることは実際と違っていたり、
     後で全く覚えていないなど、しばらく行動を共にすれば
     すぐ判ることですが・・・・

     外部の方には中々理解してもらえません・・・・!!!!

第3法則:自己有利の法則
      自分にとって不利なことは認めない・・・!

      親父もこれは「よくまあ・・!」と思うくらい見事に
      言い訳します・・・・!
      指摘しても絶対といって良いくらい認めません・・・・!

      これは問い詰めても、指摘・修正しても駄目です・・・!
      あまりしつこくやると問題行動の引き金になります
      
      まず言い分を認めて(理解して)、別の形で正しい形に
      本人がもっていくよう仕向けることです

第4法則:まだらボケの法則
      アルツハイマー型よりも、脳血管性痴呆に多いんですが
      正常な部分と痴呆として理解すべき部分が混在することです・・!

      これは、初期から末期まで通して見られる現象で、
      常識的な人ならしないような言動をお年寄りが
      している時は要注意です・・・!

第5法則:感情残像の法則
      これを理解しておくことは大変重要です・・・・!

     自分が言ったり、聞いたり、行った事はすぐ忘れますが
     (記憶力低下の法則)、感情は残像のように残ります・・・・!

     特に悪い感情(怒られたことなど・・・)は残ります
     でも、誉めたこともよく残りますので、そのかたの存在理由を認め
     賞賛と尊敬をもって接することが大切です・・・!

     これは判っていても日常的なトラブルでついつい声を荒げては
     反省ばかりしている毎日です・・・・・・!  

第6法則:こだわりの法則
      ひとつの事に何時までもこだわりつづけます。
      説得や否定はこだわりを強めてしまいます
 
      納得してもらえるよう、本人が安心できるように
      持って行くことが大切です

      例えば、腐ったものを食べた時、「ダメ・・!」と否定するのではなく
      おなかをこわす原因になる事を納得してもらう・・・などです 
      
第7法則:痴呆症状の了解可能に関する法則
      老年期の知的機能低下の特性から全ての痴呆症状が
      理解・説明出来ます

      これを理解して対応することで問題行動などを理解し、
      解決することが出来るようです
      
第8法則:ぼけのお年寄りの変化の速度は非常に早い
      ボケていないお年寄りの約3倍のスピードだといわれています
      ボケのお年寄りの4年後の死亡率は83.2%と言われています

      私と一緒に去年3ヶ月の介護研修を受けた方のお父さんは
      70代半ばで少し痴呆がある程度で体も健康でしたが

      今年の初め話しを聞くと、同居の弟さん夫婦が多忙なため、
      風邪の時入院させたところ、退院時にはボケが進んでおり、
      家庭では見れなくなっていたため再度、入院させたそうです

      そしたら、またたくまに動けなくなり車椅子を
      使っているといわれていました・・・・・

      それからどうなっているか・・・聞いておりませんが・・・

      決して病院の対応が悪いわけではないのでしょうが、
      多数の患者さんを同時に見なければならない病院で
      一人一人の症状、過去の生活体験を考えた対応が
      出来づらい現状は何とかしなければならないと思います・・・

      幸い親父の変化は遅いようですが、私も出来るだけ良い刺激
      と心安らかな日常を送らせたいと思っています

痴呆介護に関する原則
      お年寄りが形成している世界を理解し、大切にする
      その世界と現実のギャップを感じさせないようにする
      このことが、一番の介護だと思います


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